SD-WANが企業に効果をもたらす4つの理由

ビジネスの環境変化は予測不可能です。ネットワークのせいで後れを取らないようにしましょう。

複数の拠点を持つ先進的な思考の組織は、フレキシビリティ、スケーラビリティ、及び費用対効果の高いネットワーキングに対応できるSD-WANのメリットにすぐに気づくものです。競合他社に勝つための有効な手段となるSD-WANの4つの特徴を見ていきましょう。

1) クラウドへの移行

IDCは、グローバルSD-WANのインフラ及びサービスによる利益がCAGR(年平均成長率)の69%を占め、2021年には80億ドルに到達すると見込んでいます。理由の一つは、企業がクラウドへ移行したことで、パブリッククラウドベースのSaaSアプリケーションが増え続けていることです。

IDCによると、SD-WANユーザーは徐々に増加しており、ポリシーベースで集中管理ができる分散型ネットワークアーキテクチャにおけるコネクティビティ(接続性)の大幅な最適化やパス選択を実現しています。またSD-WANは、組み込み機能を使って、クラウドベースの分散型アプリケーションのセキュリティへの対応だけでなく、クラウドベース、あるいは仮想化された高度なセキュリティ機能とのインテグレーションへも対応することができます。

SD-WANは、SaaSの理想的なパートナーです。SD-WANはSaaSアプリケーションの信頼性やクオリティを向上させるだけでなく、IT部門は、SD-WANのセキュリティやコントロール機能によって、複数のサービスプロバイダーから提供される多種多様なアプリケーションを管理できるようになります。例えば、暗号化送信を利用している信頼性の高いSaaSプロバイダーであれば、インターネット上で直接つながることができますが、その他のインターネット上の送信先については、クラウドベースのプロキシなどを介してプロテクトされます。

SD-WANのメリットは、クラウド接続を簡素化ことです。単純作業を自動化したり、クラウド接続のネットワーク開始に欠かせない複雑なワークフローを調整したりすることができます。例えばクラウドベースのSD-WANゲートウェイを利用して、パブリッククラウドやハイブリッドクラウド環境全体におけるデータ通信量を管理することで、ビジネスのパフォーマンスやアジリティを大幅に改善することができます。またDevOpsの場合、VPNでは数週間かかる接続作業が、SD-WANの機能を活用すれば数分で接続が可能になります。

さらにSD-WANは、レイテンシ(遅延)、ジッタ(ばらつき)などを分析するメトリクスを使用して常にネットワークの状態をモニタリングし、混雑したリンクを回避します。

Cloud re-defines the firewall

2) 費用対効果の高いコネクティビティ

多国籍企業の多くは、複数拠点を構えていますが、接続が複雑で経費がかかるという課題を抱えています。SD-WANは、パフォーマンス要件を満たしながら、それぞれのインフラを最適化することができます。

支社からクラウドへのデータ通信の場合、SD-WANは、MPLSから公共のブロードバンドまで、最も適した帯域を使ってデータを動的に送信することで、あらゆるネットワークリソースを賢く使い分けます。IDCの世界のSD-WANに関する最新調査によると、この帯域幅の最適化は、SD-WAN導入を検討している企業の動機としてトップ4に入っているということです。残り3つの動機は、一貫したアプリケーションのセキュリティ、既存WANとの統合、及び自動化とセルフプロビジョニングの改善です。

通常SD-WANは、ポリシーをビジネスニーズによって変更することができるGUIベースの中央制御となっています。そのため従来と比較すると格段にスピードアップが図れます。これまでのプロセスでは、コマンドラインインターフェースを介してそれぞれのデバイスを設定しなければならないため、作業終了までに何時間もかかっていたのです。またデバイスの増加に伴い発生しやすくなるエラーを回避することもできます。SD-WANは基本的に、複数のデバイスに必要だったネットワークデバイス管理を不要にしてくれるのです。例えば重要なアプリケーションについては、特定のセキュリティ基準を満たすネットワークリンク全体に対して、簡単にルート化することができます。

さらに、各拠点では技術的な専門知識が不足しがちですが、SD-WANの場合はインストールに関する高度な技術などは不要で、これもメリットの一つです。あらかじめ設定されているプラグ・アンド・プレイ対応のボックスが現地に送られ、大半は自動で設置されるため、導入及び本稼働までの時間を短縮することができます。メンテナンスもリモート操作でできるため、コストを削減できます。

3) 合併・買収のサポート

化学工業、製薬工業、製造業、物流・運輸業など、頻繁に合併・買収(M&A)が行われている業界では、企業の受け入れやオフィスの引き渡しなど、膨大な作業が必要です。しかしSD-WANは、複数のネットワークを1つに統合することができます。

ネットワークの統合は様々な方法がありますが、動的マルチポイントプライベートネットワークなどを使うと、長く複雑なプロセスになる可能性があります。SD-WANの場合は、ネットワークを分割し、新しい支社やオフィスとユーザーをすぐに追加することができるため、ネットワーク統合の加速化が可能です。分割・分離機能を活用できる企業は、仮想ネットワークセグメントを分割・生成でき、インタラクト可能または不可能なネットワークを示すことができます。その結果、買収側の企業は、コンプライアンスを維持しながら、被買収企業からのデータを分割・分離することができます。

SD-WANは、ネットワークをハードウェアではなくソフトウェアの概念とし、ネットワークのオーバーレイを作ります。このSD-WANソフトウェアオーバーレイが、再設定などに要する時間と労力を削減し、また柔軟性のあるWANプロビジョニングによって、オンボーディングプロセス全体の時間短縮と簡素化を実現します。パブリッククラウドへ行き来する機密データについては、セキュリティレベルを上げることができます。M&Aにおいてネットワークの統合スピードが速ければ速いほど、事業とのシナジー効果が速く発揮されます。

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4) 予測不能な市場

市場は常に変化するため、ビジネスにおいてスケーラビリティは重要です。例えば天候によって左右されがちな小売部門にとっては特に重要です。お客様のニーズに応じてスケールアップまたはスケールダウンする能力が必要なのです。SD-WANがあれば、ビジネスニーズに合わせて拡大・縮小など変化に対応することができます。

新規のクラウドやインターネットサービスを追加したり除外したりできるため、これにより企業は新しいサービスのトライアル実施、スケールアップやスケールダウンを可能にし、新しいオフィスに素早く展開することができます。SD-WANは、ネットワークの状況を継続的に監視しており、全ユーザーが最適なパフォーマンスを得られるよう自動調整を行います。

ただし企業は、スケーラビリティに費用をかけてセキュリティを無視するわけにはいきません。SD-WANのソリューションは、ファイヤーウォールやユーザー識別の制御及びセグメンテーションなど、搭載されているセキュリティ機能を使ってこの問題を解決します。ユーザー識別の制御やセグメンテーション機能があれば、ネットワーク管理者は、攻撃を限定したり、必要に応じてビジターのトラフィックを制御することができます。信頼性の低いサイト、または不明のサイトからの通信は、通常より高いセキュリティレベルのインターネット接続へ迂回させることができるのです。

SD-WAN技術の詳細についてはこちらをご覧いただき、会社の成長、リソースの効率向上にご活用ください。

Steve Harris

I’ve been writing about technology for around 15 years and today focus mainly on all things telecoms - next generation networks, mobile, cloud computing and plenty more. For Futurity Media I am based in the Asia-Pacific region and keep a close eye on all things tech happening in that exciting part of the world.