APACのスマートモビリティ:IoTで交通機関の強化を実現

都市部は、効率的なモビリティなしでは機能しません。今ではコネクテッドセンサーやスマートフォン、インテリジェントネットワークなどが普及し、私たちは過去最高のスマートモビリティへと進んでいます。そして、IoTやクラウドがこの変化を推し進めています。

アジア太平洋地域(APAC)では、お客様の多くがIoTを組み込んだエンドツーエンドのスマートモビリティを求めています。デジタルテクノロジーや、一体型でクラウドの中央ハブで動作するスマートモビリティソリューションの構築方法について問い合わせてくる企業が多く見受けられます。

Allied Market Research社の調査によると、世界のスマートモビリティ市場は、2019年には340億ドルでしたが、2027年には700億ドルを超え、CAGR(年平均成長率)は20%に達するということです。官民が連携した場合、APACのスマートモビリティの未来は大きく拓けると思われます。

スマートモビリティの必要性は非常に高まっています。APAC地域全体において、主要都市の人口は急増しています。そして長い間、道路や公共交通機関インフラへの需要に追いついていないのです。整備が行き届いていない交通輸送サービスは、住民だけでなく旅行者にとっても不便で、また基準以下の交通機関は旅行者の安全や環境にも悪影響を与えます。

この状況下で、費用対効果の高いモビリティソリューションの実装は不可欠であり、またそのソリューションは、どの場所の条件にも適応できるものでなければなりません。さらに、収集、集計、分析されたデータは、価値のある情報として、最適な人に、最適なタイミングで、最適な方法で活用できるようにしなければなりません。

APACが検討すべきこと

スマートモビリティのポテンシャルは高く、APACにおける日常生活のあらゆる面で改善できる可能性があります。例えばIoT、人工知能(AI)、データ解析などのデジタルソリューションを活用すれば、事故の件数を減らし、道路や交通機関の安全性を高めることができます。デジタルを活用することで、乗車時間短縮や予算削減が可能になり、移動がより効率的になります。このようにデータ解析は、よりパーソナライズされた移動方法を提供することができるため、乗客の移動が全体的に改善されます。また交通渋滞や排気量・汚染レベルを下げ、環境保全にも貢献します。

オレンジはこれまで複数の地方自治体と協業し、重要なインフラのプロジェクトにおいて大きな変革のお手伝いをしてきました。そのうちの一つは、IoTの工業用デバイスとオープンソースのデータを活用して、インターネットに接続された現場「コネクテッドサイト」を実現するプロジェクトでした。その結果各企業は、機器の位置、使用状況、天候などの高度なインサイト情報を収集できるようなりました。また短期・中期のインフラプロジェクトの効率や生産性を向上させるための正しい意思決定や計画も可能になりました。さらにIoT、ビッグデータ、AIによって高度なインサイトを提供するだけでなく、関係機関にスマートなコネクテッドインフラを確立し、このレガシーを残すことでROIの実現にもつながります。

スマートモビリティの最重要項目はクラウド

クラウドは、これらのデジタルツールを実現してくれるものです。コネクテッド車両やコネクテッド交通機関によって生成されるすべてのデータは、一般的なフォーマットでアクセスしやすいどこかに保存しなければなりません。そして保存されたデータをうまく活用することで、スマートモビリティプロジェクトを強化することができるのです。

IoTによって収集されたデータをAIやデータ解析を活用してクラウドにまとめることで、予測が可能になり、これがスマートモビリティをさらに飛躍的に推進させます。例えばある都市の交通渋滞パターンを予測、または事故現場を特定して予防措置を取ることができれば、非常に価値の高いものになります。

数年前にオレンジは、APACの公共交通機関の組織と協業し、予知保全のソリューションを開発しました。この組織は、ブレーキ交換または他のメンテナンスが必要な車両を事前に知ることで、大幅なコスト削減に成功しました。もちろん市民のサービス向上にも役立ちました。

このような予測機能がスマートモビリティにおいて拡大し続けます。近年オレンジは、日本の電気通信事業者であるKDDIと提携し、トヨタ自動車とマツダ向けにカスタマイズしたIoTプラットフォームを開発しました。このプラットフォームは、オレンジのネットワークや携帯電話のコネクティビティ(接続性)を利用しており、ヨーロッパで販売するトヨタとマツダの車両にコネクテッドカー機能を装備しています。IoTを利用したすべてのコネクテッドカーは、予測解析ができるため、従来よりも効率的かつ安全に走行することができます。

すべてをつなげること

個人的な意見ですが、スマートモビリティはとても効果的です。利便性は想像以上で、誰もが実際に触れられる“現実世界のデジタル体験”をすることができます。シンプルな例をあげましょう。私の娘は最近バスで学校に行きました。娘は、バスがどういう経路で学校まで行くかをスマホで私に見せてくれました。これはバス、モバイルデバイス、最新情報と地図がすべてつながっているということです。つながっているから娘はどこでバスに乗り、どこで降りるかを私に見せることができたのです。

またスマートデジタルソリューションを使って人々の生活を向上させるために、官民が見事に協力している例もあります。これはAPI開発者コミュニティの努力の証でもあります。スマートモビリティは、あらゆる種類のアプリを活用していますが、これは開発者たちが、人々がもっと安全に快適に暮らせるように、革新的なアイデアを常に提案してくれているおかげなのです。

オレンジもまた、テクノロジーだけでさまざまなプロジェクトにおける大きな課題を解決することはできないと思っています。この価値観をベースに、私たちはテクノロジーの専門家、各業界の専門家、そして現場で働く人たちで協力関係を築くことのできるデジタルトランスフォーメーションのフレームワークを提供します。このフレームワークは、以下の3つのエレメントで支えられています。

  • 技術プラットフォーム
  • 共創型のイノベーションプロセス
  • コラボレーション、エンゲージメント、イノベーションの拠点

イノベーションはチームプレイです。お客様、パートナー、そして行政と緊密に連携することで、このデジタルトランスフォーメーションのモデルが、スマートモビリティに必要な改善をもたらしてくれると信じています。

次に来るものは?

IDCによると、APACがスマートシティに支出する金額は、2021年末には453億ドルになる見込みだということです。ただしこれは新型コロナウィルス発生以前の予想です。この金額のほとんどは、高度交通システムや自動車とあらゆるモノをつなげる無線通信技術、V2X,(vehicle-to-everything)など、スマートモビリティの取り組みに投資される予定です。近い将来、スマートモビリティは完全一体型の高度システムへと進化し、スマートシティ内外で動作するようになるのではないかと私は期待しています。コネクテッド車両はIoTを利用して、スマート道路、スマートビルディング、スマート交通管理プラットフォームなど、他のインフラやシステムと相互作用することになるでしょう。

ただし注意しなければならないこともあります。モビリティシステムの機能を高めるためにデータを使用するということは、AIと同様にデータに関するプライバシーの問題も発生するということです。市民のプライバシーと公共の利益のバランスを取らなければなりません。それには官民が協力し、乗客や車両のデータを収集、保存、処理、および使用する倫理的な方法を、プライバシー保護に関する法律に則って確立しなければなりません。オレンジは、APACの人たちがスマートモビリティの恩恵を受けることを望んでいます。そのためにはプロバイダーが彼らに信頼されなければなりません。この信頼関係ができれば、APACの未来には高品質なスマートモビリティが実現するでしょう。

詳細については、こちらから「都市および地区においてオレンジがサポートするデジタルトランスフォーメーション」、また革新的なモビリティサービス全般についてはこちらをご覧ください。

 

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Steve Harris

I’ve been writing about technology for around 15 years and today focus mainly on all things telecoms - next generation networks, mobile, cloud computing and plenty more. For Futurity Media I am based in the Asia-Pacific region and keep a close eye on all things tech happening in that exciting part of the world.