自動車業界のCaaS(サービスとしての車)への移行計画

自動車の愛好家たちは今でも、デザイン性や運転機能の高い車を「欲しい」と思うものですが、現代)やレンタカーの時代から、新しい「(諸費用が全て含まれている)カーリース」という形態が誕生しました。このCaaS(サービスとしての車)によって自動車業界や高速道路の形が大きく変わります。の多くの若者たちにはそのような所有欲がありません。モータークラブ(JAFのような組織

新型コロナウィルスのパンデミックより、消費者の交通手段への考え方が変わりました。Cox Automotiveの調査によると、消費者の46%は、今回の世界危機の間に、公共交通機関やタクシーの利用を止め、自分たちの車を運転して移動するようになったということです。自家用車で移動する人の比率は、2018年の67%から、2021年の78%になりました。

一方、消費者は駐車場に置く高額商品は欲しくないと考えています。彼らは、従来の「車を所有する」以外の形で車に乗る方法を求めているのです。フロスト&サリバン社によると、新しい所有モデルの浸透に伴い、消費者はサブスクリプションという形で自分たちのライフスタイルに合うオプションを選ぶようになり、これが長期的なソリューションになるということです。

現代の私たちは、スマートフォンやエンタメサービスなど、さまざまなものに対してサブスクリプション契約をしています。フロスト&サリバン社は、次に来る成長分野は車であると確信しており、2025年までに、5台に1台はサブスク契約の車になるだろうと予想しています。

2025年までには、5台に1台がサブスク契約の車になります

CaaS時代の幕開け

CaaSでは、サブスクの月額を払うことでユーザーが様々な車種やソリューションを利用することができ、行動や要望の変化にも対応します。そこには車の保険やロードサービスなど、付加サービスも含まれます。コンセプトは、消費者の利用効率を最大化し、コスト削減にも役立てることです。サブスクリプション対象のほとんどの車はEVであるため、従来の車よりもメンテナンス費用が抑えられるだけでなく、省エネかつ環境に優しいというメリットもあります。

大手メーカーのうちBMW、メルセデス、ポルシェ、ボルボは、すでにサブスクリプションプランを立ち上げています。このような継続的に利益を生むビジネスモデルは、最終的にブランド価値や資金調達の最終ラインを守ってくれるでしょう。

車のサブスクによる消費者のメリットは、一般的にはライフスタイルに応じた車選びを可能にする柔軟性の高さや最低限の保証内容の多さでした。しかしCox Automotiveの調査によると、柔軟性はもはや消費者にとって重要ファクターではないということです。最高クラスかつ最新の車載テクノロジーを利用できるということが、車のサブスクユーザー(35%)とオーナー(45%)の両者にとって最大のメリットなのです。

ラップサービスで価値を創造

今後は、カスタマージャーニーをコントロールするサービス化モデルによって、自動車メーカーのラップサービス(包括的にユーザーを包み込むサービス)が多くなるでしょう。自動車メーカーは、従来のディーラーを通したエンドユーザーとの連絡を制限することにより、新しい潜在的な売上の可能性や、カスタマー・ロイヤルティのチャンスを見逃していることに気づいたのです。

サービス化することで、メーカーは「サービスとしての結果」を販売することができ、1回限りの販売ではなく、メンテナンスやテクノロジーのアップグレードを含むサブスクリプションモデルを促進することができます。またコネクテッドカーやIoTの支援によって取得したデータを活用して、自動車メーカーは、ユーザーやユーザーの行動をこれまで以上に把握することができ、彼らのニーズを満たすことができます。

また、サブスクリプションと従量課金制を組み合わせたカーシェアリングモデルも今後成長するでしょう。カーシェアリングのユーザーは、時間または日単位で車を予約し、アプリを使ってロックまたはロック解除をすることができます。また車の乗車場所や降車場所も複数選択できます。

これらの動きに先駆けて、浙江吉利控股集団(Geely Holding)、吉利汽車(Geely Auto)、およびボルボカーグループによって設立された世界の高級車ブランドLynk & Coは、「常時接続」のコネクテッドカーをサブスクリプションモデルとして発表しました。車両は、オレンジビジネスのIoTネットワークとインフラを利用、インターネット、課金、車載インフォテインメントまで、インターネット接続を要するサービスをユーザーに提供することができます。

Lynk & Coは、車の完全購入を望んでいない人を対象にしたサブスクリプションモデルを提供しています。車両にはシェアボタンがあり、オーナーまたはサブスクリプションユーザーがその車両を使用していない時に機能を共有することで利益を生むことができるようになっています。Lynk & Coメンバーは、クラウドを使って車両と通信を行うスマートフォンのアプリから自分たちの車を管理、監視、共有することができるのです。

「自動車業界は100年前からの販売およびオーナーシップモデルを続けています。これを私たちが変えていきます。今のお客様は、自分たちのデジタルなスタイルや、常に変化するライフスタイルを反映できる製品に価値を見出すのです。」と語るのは、Lynk & Coのアレイン・ビッサー上級副社長です。

Lynk & Coは、ほとんどの市場で直販型の販売モデルを利用します。ユーザーは車をオンラインで注文し、さまざまなパッケージを使うか、ヨーロッパ各国で公開されているLynk & Coクラブに直接アクセスして車をカスタマイズすることができます。Lynk & Coクラブは、Lynk & Coコミュニティの心臓部なのです。

デジタルプラットフォームの参入

CaaSは、消費者が一つのプラットフォームを介してさまざまな交通手段を利用することができるMaaS(Mobility-as-a-Service:サービスとしての移動)のコンセプトにも適しています。公共と個別の交通機関の相互接続、環境問題や交通渋滞問題への取り組み、都市部における公共交通機関の選択肢の拡大などを支援します。

オレンジビジネスでは、これらのサービスを管理するには、サービス提供者が統合された付加価値サービスを提供できるモビリティ業界のブロックチェーンプラットフォームが必要であると考えています。ブロックチェーンは、モビリティ業界のエコシステム全体において信頼できる不変かつ共有可能な基礎部分を提供します。

またテクノロジーは、レンタカー会社が商品のサービス化を進めるためにも役立ちます。例えばハーツレンタカーは、オレンジビジネスのモジュラーIoTおよび分析ソリューションであるDatavenueを利用して、ヨーロッパ全土の顧客企業に対し24時間営業のレンタカーサービスを導入しました。このサービスにより顧客企業ユーザーは、都合の良い場所で車やワゴン車などを調達し、レンタル期間も選ぶことができます。

オレンジビジネスが提供するIoTの接続性があれば、車載の音声通話サービスも可能なため、ハーツのコールセンターに直接連絡することもできます。以前は、もっと複雑で分かりにくかったため、各国が現地のオペレーターを使ってSIMカードを渡さなければならなかったのです。

ハーツのプールフリート契約は、顧客企業が事業展開する複数の国を対象としているため、スタッフは、複数の場所から車両を予約したり使用したりすることができます。24時間365日乗車・降車が可能なキーレスカーを、スマートフォンのアプリを使ってオンライン予約することができます。

未来への取り組み

サービス化モデルは、フォード・モデルTが生産ラインから出荷されて以来、自動車業界の常識を覆すような販売モデルであり、車を所有するコストや誓約事項など大幅に削減されました。この柔軟性の高いモデルに舵を切ることができる自動車メーカーは、収益を生み出す可能性が非常に高いと思われています。

例えばテスラは、自動運転サブスクリプションに期待しており、すでに安全スコアの高いドライバーには一部提供しています。完全自動運転(FSD)機能の費用は、手頃な月額199ドル、または完全購入の場合は10,000ドルです。プレミアムパッケージにはスマート呼び出し機能も付いており、運転手はテスラのアプリからリモート操作で駐車場に停まっている車を呼ぶことができます。

サービス化の別の例として、BaaS(サービスとしてのバッテリー)があります。再充電する代わりに、ドライバーが指定の場所でバッテリーを交換するというこのコンセプトを、すでに一部の企業がテストしています。アメリカでは、スタートアップ企業のアンプルがバッテリー交換事業モデルに1億6千万ドルの資金を調達し、商用車から開始しています。中国では、EVの乗用車に使用するバッテリー交換ステーションに関する基準が提案され、年内に可決される見込みです。吉利汽車(Geely Auto)、上海蔚来汽車(NIO)、上海汽車集団(SAIC MOTOR)など、中国国内の自動車メーカーは、バッテリー交換可能なEVを生産しています。

自動車メーカーは顧客を読み取らなければならない

車のオーナーシップに対するニーズや姿勢が変化している今、サブスクリプションモデルは、自動車メーカーにとって最大の新しい収入源となります。ただし注意しなければならないのは、提供物と顧客の期待値とのバランスです。これに失敗すると、従来のカーリースに比べて関連商品が極端に少なくなるせいで、顧客が他社へ行ってしまう可能性があります。

オレンジビジネスがインターネット接続のある車両をどのように利用して画期的なサービスを生み出しているかについてはこちらをご覧ください。また、オレンジビジネスのIoT接続をヨーロッパ全土で使用するLynk & Coの「常時接続のコネクテッドカー」についてはこちらをご覧ください。

 

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Steve Harris

I’ve been writing about technology for around 15 years and today focus mainly on all things telecoms - next generation networks, mobile, cloud computing and plenty more. For Futurity Media I am based in the Asia-Pacific region and keep a close eye on all things tech happening in that exciting part of the world.